国土交通省仕様のプルボックス、金属ダクト、ケーブルラック【令和7年版】

今回は、弊社によく製作のご依頼を頂く「国土交通省仕様の製作金物」をテーマに、そもそも国土交通省仕様とは何か、また具体的にどのように規定されているのかについて、令和7年版の資料を元に解説いたします。
設備設計および製作金物の設計者を主な読者として想定しておりますが、発注に関わる工事部門や資材・調達・購買部門の方などもぜひご覧ください。なお、本稿執筆にあたり引用元・参考資料とした各資料は、末尾に記載しております。
国土交通省仕様とは
いわゆる「国土交通省仕様」(以下、国交省仕様)とは、国土交通省大臣官房官庁営繕部および地方整備局等営繕部が、官庁施設の営繕工事を実施するための統一的な技術基準として3年ごとに制定している「公共建築工事標準仕様書」「公共建築改修工事標準仕様書」「公共建築設備工事標準図」という標準仕様書で規定されている仕様のことです。
公共工事および公共工事で使用する製作金物は、この国交省仕様に合致している必要があります。
国交省仕様プルボックス

公共工事の現場で使用される国交省仕様プルボックスは、公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)令和7年版において、次のように規定されています。
1.2.6 プルボックス
(1) 形式等は、標準図第2編「電力設備工事」(後述)による。
(2) 金属製プルボックス(セパレータを含む。)は、次による。
(ア) 鋼板製プルボックス(溶融亜鉛めっき又は同等以上の耐食性を有する鋼板製のもの及びステンレス鋼板製のものを除く。)は、さび止め塗装を施す。
(イ) 溶融亜鉛めっき又は同等以上の耐食性を有する鋼板製プルボックス及びステンレス鋼板製プルボックスの表面仕上げは、製造者の標準による。
(ウ) 長辺が600mmを超えるものには、一組以上の電線支持物の受金物を設ける。
(エ) 一辺が800mmを超えるふたは、一辺が800mm以下となるように分割し、ふたを取付ける開口部は、等辺山形鋼等で補強する。
(オ) 標準図第2編「電力設備工事」の接地端子座による接地端子を設ける。
(カ) 屋外形のプルボックスは、次によるほか、(ア)から(ウ)及び(オ)による。
(a) 本体とふたの間には吸湿性が少なく、かつ、劣化しにくいパッキンを設ける。
(b) 防雨性を有し、内部に雨雪が浸入しにくく、これを蓄積しない構造とする。
(c) ふたの止めねじは、ステンレス鋼製とする。
(3) 合成樹脂製プルボックスは、次による。
(ア) 大きさは長辺が600mm以下とし、板の厚さは、製造者の標準とする。
(イ) 屋外に使用するものは、(2)(カ)(a)から(c)による。
国交省仕様金属ダクト

同様に金属ダクトも、国交省仕様が次のように規定されています。
1.2.7 金属ダクト
(1) 形式等は、標準図第2編「電力設備工事」による。
(2) 金属ダクト(溶融亜鉛めっき又は同等以上の耐食性を有するものを除く。)は、製造者の標準色により塗装を施す。
(3) 溶融亜鉛めっき又は同等以上の耐食性を有する金属ダクトの表面仕上げは、製造者の標準による。
(4) 幅が800mmを超えるふたは、2分割し、ふたを取付ける開口部は、等辺山形鋼等で補強する。
(5) 金属ダクトの屈曲部は、電線被覆を損傷するおそれのないよう、隅切り等を施す。
(6) 本体相互の接続は、カップリング方式とする。
(7) プルボックス、分電盤等との接続は、外フランジ方式とする。
(8) 終端部は、閉そくする。ただし、分電盤等と接続する場合は、この限りでない。
(9) 電線支持物は、次による。
(ア) 電線支持物は、金属管、平鋼等とする。
(イ) 電線支持物の間隔は、水平に用いるダクトでは600mm以下、垂直に用いるダクトでは750mm以下とし、その段数は表1.2.5*による。
| ふたの位置\深さ | 200mm以下 | 200mm超過 |
| 上面 | なし | 1段 |
| 下面又は立上り正面 | 1段 | 2段 |
*上表は、公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)令和7年版、21頁(https://www.mlit.go.jp/gobuild/content/001888825.pdf)をもとに山内商事株式会社作成
(10) 終端部及びプルボックス、分電盤等との接続部には、標準図第2編「電力設備工事」の接地端子座による接地端子を設ける。
国交省仕様ケーブルラック
ケーブルラックの国交省仕様は、以下の通りです。
(1) 形式等は、標準図第2編「電力設備工事」による。
(2) はしご形ケーブルラックは、親げたと子げたを溶接、かしめ又はねじ止めにより、機械的、かつ、電気的に接続したものとする。
(3) トレー形ケーブルラックの側面と底板は、一体成形又は機械的、かつ、電気的に接続したものとする。
(4) 本体相互は、機械的、かつ、電気的に接続できるものとする。
(5) 本体相互の接続に用いるボルト及びナットは、次による。
(ア) 鋼製ケーブルラックは、亜鉛めっき等を施したものとする。
(イ) 鋼製溶融亜鉛めっき仕上げ及び溶融亜鉛-アルミニウム系合金めっき鋼板を用いたケーブルラックは、ステンレス鋼製又は溶融亜鉛めっきを施したものとする。
(ウ) アルミ製ケーブルラックは、ステンレス鋼製又はニッケルクロムめっきを施したものとする。
(6) はしご形ケーブルラックの子げたの間隔は、鋼製のものは 300mm 以下、アルミ製のものは250mm 以下とする。 なお、直線部以外の子げたの間隔は、実用上支障がない範囲とする。
(7) ケーブルが接する部分は、ケーブルの被覆を損傷するおそれのない滑らかな構造とする。
(8) 終端部、自在継手部及びエキスパンション部の接地端子座による接地端子は、標準図第2編「電力設備工事」による。
国交省仕様プルボックス、金属ダクト、ケーブルラックの設計・製図における詳細指針
国交省仕様のプルボックス、金属ダクト、ケーブルラックの設計・製図を行う際、上記仕様が基本となりますが、材質・寸法・形状・板厚や図面における記号・表示例など詳細な指針が、公共建築設備工事標準図(電気設備工事編)令和7年版において規定されています。
【具体例】プルボックスの標準図
例えば、プルボックスの「材質・材厚及び仕上げの記号」については、以下のように規定されています。
| 記号 | 材質・材厚及び仕上げ |
| ー | SPC1.6 |
| Z | SPC 1.6にJIS H 8641「溶融亜鉛めっき」に規定するHDZT49以上の溶融亜鉛めっきを施したもの又は同等以上の耐食性を有するもの |
| SUS | SUS1.2 |
| V | 合成樹脂製 |
備考 (1) セパレータも含む。
(2) 記号の末尾に(指定色)を付記したものは、表面を指定色により塗装を施す。
*上表は、公共建築設備工事標準図(電気設備工事編)令和7年版、150頁(https://www.mlit.go.jp/gobuild/content/001888825.pdf)をもとに山内商事株式会社作成
この他、「プルボックスと配管の支持例」や金属ダクトの「材質・材厚及び仕上げの記号」、ケーブルラックの「寸法及び強度の記号」なども、公共建築設備工事標準図(電気設備工事編)令和7年版の151~155頁(https://www.mlit.go.jp/gobuild/content/001888825.pdf)に記載されていますので、併せてご参照ください。
国交省仕様の金物製作実績
電設資材・金物製作. comでは、上記の国交省仕様にもとづきプルボックスや金属ダクトなどを製作しております。
国交省仕様プルボックス(塗装)

国交省仕様の塗装プルボックスです。表面仕上げは、5Y7/1メラミン焼付塗装、内面絶縁ワニス仕上げです。アース端子付き。平プレートのプルボックスで、蝶ビス留め仕様です。
溶融亜鉛メッキ国交省仕様プルボックス

国交省仕様の溶融亜鉛めっきプルボックスです。屋外仕様のプルボックスですが、150角の大きさなので、被せ防水蓋で製作しております。
SUS国交省仕様プルボックス

国交省仕様のSUSプルボックスです。屋外仕様のプルボックスで、水切り防水蓋で製作しております。内部は絶縁ワニス仕上げで、アース端子付きです。
SUSダクト(国交省仕様)

国交省仕様のケーブルダクトです。現場採寸の後、設計・製作・現場納品までワンストップで対応しました。障害物を避けるために、上下左右に傾斜をつける必要がありました。
ツバ付きスリーブ(国交省仕様)

防水のためにフランジ両面全周溶接をしたツバ付きスリーブです。片面溶接に留める場合もありますが、両面全周溶接をするとより防水性が高まります。国交省仕様に準拠し、3.2tの厚みの材質を使用しております。ケーブル保護のために切り口の面取り加工を入念に行っております。
国交省仕様の製作金物なら、電設資材・金物製作. comにお任せください
電設資材・金物製作. comでは、国交省仕様金物の製作実績が多数ございます。阪神地区で最速クラスの短納期で、現場調査・設計から製作、めっき・塗装までワンストップで対応いたします。
単品・少量でもお気軽にお問い合わせください。
▼出典・引用元
国土交通省大臣官房官庁営繕部監修、公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)令和7年版、第2編 電力設備工事、第1章 機材、第2節 電線保護物類、20~21頁、2025/3/21制定、2025/5/12改定、https://www.mlit.go.jp/gobuild/content/001888825.pdf
公共建築設備工事標準図(電気設備工事編)令和7年版、2025/3/21制定、https://www.mlit.go.jp/gobuild/content/001879276.pdf
▼参考資料
公共建築改修工事標準図(電気設備工事編)令和7年版、2025/3/21制定、2025/5/12改定、https://www.mlit.go.jp/gobuild/content/001888847.pdf
出典・引用元・参考資料の内容に関するお問合せは、国土交通省大臣官房 官庁営繕部 設備・環境課03-5253-8111まで、ご連絡ください。
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